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短期的に米国の銀行セクターショックが再発するリスクはあるか(ft. 準備預金、LcLOR)

  • 作成言語: 韓国語
  • 基準国家: すべての国家country-flag
  • 経済

作成: 2024-10-05

作成: 2024-10-05 23:28

短期的に米国の銀行セクターショックが再発するリスクはあるか(ft. 準備預金、LcLOR)


最近、ネットを調べていると、アメリカの準備預金の流れを見て、近い将来、2023年初頭に発生したSVB(シリコンバレー銀行)事件、あるいは地方銀行危機と似たようなアメリカの銀行セクターのショック状態が再発する可能性があるという意見をいくつか聞き、簡単に調べて考えてみました。

結論から先に私の考えを述べるとすれば、「現状では数ヶ月以内という短期ではありません。発生するとしても、もう少し時間が経過してからになるだろう」ということです。

まず、なぜこのような議論が出てくるのかを検討するには、LcLOR(Lowest comfortable Level Of Reserves)と呼ばれる「銀行セクターの最低限の安定のための準備預金レベル」について見ていく必要があります。

下記の過去のニュース記事にあるように、FRB(連邦準備制度理事会)が考えている、アメリカの銀行セクターのシステム安定のために最低限維持する必要がある総準備預金(Reserves)の規模について述べています。決められた理論によるレベルがあるのではなく、むしろ「概念的なレベル」です。

短期的に米国の銀行セクターショックが再発するリスクはあるか(ft. 準備預金、LcLOR)


以下は、ここ5年間のFRBの逆レポ(ON RRP)残高の流れです。2022~2023年にかけて最大2.4兆ドルまで達していた逆レポ残高が減少を続け、アメリカの金融市場の短期的な流動性強化に貢献してきましたが、今年半ば以降、4,000億ドルをやや下回る水準での横ばい傾向が続いています。

個人の普通預金残高が極端な状況でない限り、通常はゼロにはならず、ある程度の最低水準を維持するのと同様に、FRBのこの逆レポ残高も、逆レポ口座を完全に閉鎖しない限り、この程度の水準が底になり、小幅な変動しか起こらない可能性があります。

つまり、逆レポ残高はまだかなり残っていますが、この逆レポ残高が大幅に減少して準備預金を補充する大きな影響を与える役割は、ほとんど果たさなくなったのではないかと考えられる部分です。

短期的に米国の銀行セクターショックが再発するリスクはあるか(ft. 準備預金、LcLOR)


それでも月間の規模は減少していますが、FRBの量的引き締め(QT)は継続中です。量的引き締めによる準備預金の縮小は定期的に継続されているということです。

下記のFRBの負債勘定推移に関するチャートで緑色で示されている銀行セクターの総準備預金の動きを見ると、数ヶ月前から逆レポ残高の流出傾向が鈍化し、最近の9月の法人税の納税が集中した期間を経て、少しずつさらに小さくなっています。

もししばらくの間、政府のTGA(財務省一般勘定)残高を通じた財政支出が大幅に増加せず、この状況が続けば、準備預金は徐々に3兆ドル程度、あるいはそれを一時的に下回る水準まで低下する可能性があります。

現在の傾向を見るとそうなるのですが、昨年の初頭に地方銀行のバンクラン危機が起こり、現在のLcLORの適切な水準として言われているのが約3兆ドルです。概念的にアメリカのGDPの約10%前後を考えていますが、これ以下になると、昨年の地方銀行のような事態が再発する可能性があると考えることができるのです。

そのため、現在の準備預金の推移を見ると、このまま数ヶ月続けば、数ヶ月以内に銀行セクターの発作的なショックが現れる可能性もあると考えられます。

短期的に米国の銀行セクターショックが再発するリスクはあるか(ft. 準備預金、LcLOR)


以下は、米国のメガバンクと中小銀行に分類して示した銀行別準備預金(現金)の推移です。これを見ると、ここ数ヶ月の総準備預金の減少は、メガバンクの影響であることが分かります。

まず、メガバンク(青色)の準備預金の推移を見ると、レポ市場の混乱があった2019年よりも、2023年初頭の地方銀行危機の時の準備預金レベルの方が高く、その時点よりも最近はやや低下していますが、現在の方が高いです。

そして、中小銀行(赤色)の推移も同様です。ただし、メガバンクとは異なり、ここ数ヶ月間、中小銀行の準備預金は少しずつ増加傾向にあることが分かります。

短期的に米国の銀行セクターショックが再発するリスクはあるか(ft. 準備預金、LcLOR)


しかし、ここ数ヶ月、メガバンクを中心に減少している銀行セクターの準備預金の減少の大部分は、メガバンクに問題があって、一種の遅いバンクランのように流出しているというよりは、下記のようにBTFP(銀行ターム資金プログラム)の減少など、既存の外部借入金を減らす影響が大きいと思われます。

何か問題があるというよりは、FRBから借りたBTFPの満期が一部到来したので返済しているか、あるいは来年3月まで満期を延長できますが、それ以上維持してもメリットがないので(数ヶ月前にBTFP融資による無リスク裁定取引の利益の話があったように)、単に前倒しで返済しているように見えます。

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上記の銀行規模別の総準備預金の推移を見ると、2019年、2023年それぞれに銀行セクターの発作的な問題がありましたが、GDP規模の増加に伴っているのか、それぞれ当時の準備預金の規模も大きくなっており、レベルに差がありました。

そこで、銀行セクターにとって問題となる準備預金のレベルを「総額よりも総資産に対する比率」を見る方が便利ではないかと考えています。

以下は、メガバンク/中小銀行規模別に総資産に対する準備預金(現金)の比率の推移を示すチャートです。

メガバンクを見ると、この比率は2019年よりも2023年の方が高く(そのため、地方銀行危機の際にメガバンクには大きな問題はなかった)、2023年の地方銀行危機時よりも現在は高いです。

ここ数ヶ月間、メガバンクの準備預金はやや減少しましたが、2019年のレポ市場の混乱時ほどのレベルに低下するまでは、個々の銀行には問題がある可能性がありますが、メガバンク全体に問題が生じる可能性は低いようです。

中小銀行は、この現金/総資産比率が2023年初頭に2019年当時のレベルに低下した直後に地方銀行危機を経験しました。これを見ると、中小銀行は、この2019年と2023年の危機レベルに再び低下すると、問題が再発する可能性が高いと推測できます。

そして、中小銀行の現状を見ると、2023年の地方銀行危機以降、FRBがBTFPやDW(割引窓口)を通じて融資した(ほとんどはBTFP)金額によって、現金/総資産比率が大幅に上昇した後、最近までその水準をほぼ維持しているので、大きな問題はなさそうです。

代わりに、BTFPの融資が2025年、来年3月頃(?)に終了予定であることを考えると、その3月前後で、中小銀行を中心に銀行セクターの発作的な状況が再び発生する可能性があります。しかし、一度発生しても、保有している貸出資産の問題ではなく、依然として大部分が国債の未実現損失の問題であれば、再びFRBの直接介入できる範囲内なので、大部分は食い止められるでしょう。

とりあえず短期的には、アメリカの銀行セクターには大きな問題はないように見え、問題が一時的に発生しても、来年BTFPの満期が到来する3月頃には多少の揺らぎがある可能性があると予想されます。

短期的に米国の銀行セクターショックが再発するリスクはあるか(ft. 準備預金、LcLOR)


しかし、FRBが安全資産として分類している国債やMBS(住宅抵当証券)などの債券に関する未実現損失の問題以外に、貸出資産などの不良化の問題が生じれば、その銀行の話は少々変わってくると思います。

おそらく、もう少し時間が経ち、高金利が維持されれば、問題が本格化する商業用不動産(CRE)に対する融資の問題でしょうか?

下記の商業用不動産指数(CPPI)の推移を見ると、最近FRBが利下げに転じたため、これまで価格が大きく下落し、利下げ後の期待感からやや反発している様子が見られます。商業用不動産が再び回復するには、利下げが急速に継続される必要があります。

逆に、利下げが妨げられたりして、進展が止まったりすれば、問題が発生して再び下落に転じる可能性もあります。これが大規模に不良化すれば、後に1990年の貯蓄貸付組合危機と似たような中小地方銀行を中心とした金融危機が後に発生する可能性があると予想されます。商業用不動産も大きく問題化するには、来年後半以降、もう少し時間が経過する必要があるでしょう…

これらの流れを見ると、アメリカの銀行セクターのリスクの兆候は短期的に現れるとは考えられません。とりあえず今は…それよりも今は、拳が?近いイスラエルの暴走ぶりを重視して観察すべき時だと考えられますね。

今は金融危機のリスクよりも、「高金利の長期化延長の可能性のリスク」をもっと検討すべき時です…

短期的に米国の銀行セクターショックが再発するリスクはあるか(ft. 準備預金、LcLOR)


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